皆さんこんにちは。
突然ですけど、陰謀論ってなんですか?
という質問に対し、コレだ!と答えられる人っていますか?
怪しい風聞?根拠がない?悪の組織が関与している?
確かにこれらの特徴があるように思えますけど、揺るがない定義とするには少々曖昧な気がします。
だけど、テレビやネットでは皆当たり前のように陰謀論という存在を問題とし、議論()を展開しています。
皆、各々の基準を元に陰謀論かどうかを無意識的に判断しているのだと思います。
その結果、議論に必要な共通認識にズレが生じ、建設的な話し合いになっていないような光景は見たことある人も多いのでは無いでしょうか?
ということで今回は、陰謀論のそもそもを考えてみたいと思うので、どうか最後まで読んでいけ下さいお願いします。
目次
陰謀論とは
陰謀論(いんぼうろん、英: conspiracy theory)とは、なんらかの有名な出来事や状況に関する説明で「邪悪で強力な集団(組織)による陰謀が関与している」と断定したり信じたりするものである
いつもお世話になっておりますwiki先生!!
「なんらかの有名な出来事や状況に関する説明」
この部分から読み取るに、要するに仮説の1つに過ぎないと言っているように思えます。
陰謀が関与する仮説を論じるから、陰謀論。
じゃあそもそも陰謀っていうのはなんなのか?
wikipedia(陰謀)より引用
陰謀(いんぼう、英:plotあるいはconspiracy)とは、人に知られないように練る計画のこと。
引用のまんまですね。
ただし続きを見てみると。
この表現には何らかの価値判断("悪い"という判断)が含まれている。
バレない様に陰でコソコソ悪巧みをする事って言うのが陰謀のニュアンスになってくると思います。
つまり陰謀論とは、
「裏でコソコソ悪巧みをしている、という仮説を論じているもの」
となるわけです。
付け加えると、邪悪な集団や組織が関与している、と考えてる感じになるんだと思いますね。
終わり!閉廷!以上! 皆解散!
ってなるか。
陰謀論って言葉に含まれるニュアンスには、「聞くに値しないもの」というマイナスな要素があると思います。
しかし、言葉通りに定義したところでマイナスな要素が含まれるようには思えません。
恐らくそれは、世に出回ってる陰謀論や陰謀論者に何かしら問題点があり、皆が悪い印象を持っているからっていうことになると思います。
「断定したり信じたりするものである」
とあります。
多分この辺が、陰謀論の問題点そのものになってくる気がするので、実例を見ながら考えていきたいと思います。
陰謀論の実例と問題点
新型コロナワクチンは人類を選別するために作られた。
このワクチンは従来の生ワクチンと違い、遺伝子組み換え形ワクチンと呼ばれるもので、この形式のワクチンは臨床試験のデータが不足している。
そして過去に、別の感染症に対する遺伝子組み換え形ワクチンを実験用マウスに投与したところ、殆ど(約90%)が死滅した。
マウスは人間の構造に近いのでこの試験結果は信用に値する。
このことから、コロナワクチンを打つと人は2年以内に約90%の確率で死亡すると言える。
人間における治験が少ないのは、この事実を公表出来ないからである。
しかし、何故かここにきてコロナワクチンを推進するWHOや日本政府。
ここから考えるに世界の90%の富を握る一部の資本家の陰謀が関与している思われる。
具体的には、今なお増え続ける世界の総人口に対し、危機感を抱いた資本家達が人類を削減かつ、優生論に基づいた選別を行おうとしてる、というものだ。
これは、新世界秩序(ニューワールドオーダー)であり、日本政府はそれらの勢力に与する。
コロナワクチンを推進する日本政府の行動からもそれは明らかだ。
すでに布石は打たれていたのである。
まあこんな話を聞いことある人もいると思います。
この話は、マルチ商法にハマってしまった僕の友達のN君が、セミナーで聞いた話をそのまま僕に話してきた時の内容です。勿論、反ワクチンを掲げてました。
さて、この仮説の問題点を洗い出していきましょう。
早まった一般化
wikipedia(早まった一般化)より引用
早まった一般化(はやまったいっぱんか、Hasty generalization)とは、形式的な誤謬または詭弁の一つ。以下のような論証形式の推論をいう。類推の危険とも。
AはXである。
BもXである。
CもXである。
DもXである。
したがって、いかなる場合もXである。
この形式は論理的に妥当でない。少ない例から一般的な結論を導こうとしており、これが早まった一般化となる。つまり、Xを満たすものが存在するという一部の個別の事実から全体を判断していて、それ以外のEからZまでの中に、Xでないものが存在する可能性が全く考慮に入れられていないため、誤りになる。
要は、少ない事例や思い込みにより仮説を一般論としてしまうことを言います。
さっきの話で言うと
「コロナワクチンは、遺伝子組み換え型ワクチン」
「別の感染症に対する遺伝子組み換え型ワクチンを実験用マウスに投与したところ、殆ど(約90%)が死滅した」
「マウスは人間の構造に近い」
これらの情報から、
「コロナワクチンを打つと人は2年以内に約90%の確率で死亡する。」
という結論を帰納法・演繹法を応用し類推していたわけで、この思考の過程そのものは間違ってはいないと思います。
だけどこれには、
・遺伝子組み換え型ワクチン全て、投与して2年で死亡するの?
・マウスの寿命は2年〜3年、長くても4年
という穴があり、結論は誤りとなります。
ここで大事になってくるのは事実関係で
「コロナワクチンは、遺伝子組み換え型ワクチン」
「マウスは人間の構造に近い」
この2つは一般的に正しいですが、
「別の感染症に対する遺伝子組み換え型ワクチンを実験用マウスに投与したところ、殆ど(約90%)が死滅した」
この事実の裏付けがガバガバだったので、結論が成り立たなくなったわけです。
仮説を検証せず、一般論として扱いそれを元に論理展開していくのは誤りとなります。
他にも、
「世界の90%の富を握る一部の資本家の陰謀が関与している」
というのも根拠薄弱な憶測であり、これを是として話を展開するのも間違いです。
要は、根拠のない仮説に論者にとって気持ちいい仮説や解釈を重ねていくという都合のいい論理となってしまうのは正しくないのです。
あくまで、仮説として論じているなら問題ありませんが、断定するような物言いの場合は怪しいと判断せざるおえません。
論理の飛躍
次に問題なのは、論理が一足飛びとなっており前後の相関性が損なわれていることです。
AならばB、BならばCのように推移性が成り立っていて初めてCならばAとも言えるわけで、AならばZのように推移性が損なわれているものは、論理的な誤りとなります。
さっきの陰謀論でいうと、
「ここにきてコロナワクチンを推進するWHOや日本政府」
という事実から、
「ここから考えるに世界の90%の富を握る一部の資本家の陰謀が関与している思われる。」
と意味不明なくらい話が飛躍しちゃってます。
だけど陰謀論を信奉する人にとっては、陰謀という結論ありきなため、推移性が損なわれていることには注目せず、「一部の資本家の陰謀が関与」という餌に飛びついちゃうわけです。
循環論法
wikipedia(循環論法)より引用
循環論法(じゅんかんろんぽう、circular reasoning, circular logic, vicious circle)とは、
・ある命題の証明において、その命題を仮定した議論を用いること。証明すべき結論を前提として用いる論法。
・ある用語の定義を与える表現の中にその用語自体が本質的に登場していること。
要はAならばB、BならばAのように、一周回って結論と根拠が同じところに戻ってきてしまう論理のことを言います。
さっきの陰謀論の中では、
「コロナワクチンを推進する日本政府」
↓なぜ?
「日本政府も陰謀に組み込まれている」
↓その根拠は?
「日本政府がコロナワクチンを推進している」
このような堂々巡りが繰り広げられていたわけです。
結局何の説明にもなっていませんが、陰謀論を信奉する人は結論ありきなのでこの論理破綻に気づくことができないのです。
陰謀論の特徴
さて、ここまでは僕の友達がはまったマルチの教祖様が唱えてる陰謀論に対しツッコミを入れてきたわけですけど、このことから世に出回ってている陰謀論の特徴を見ていきたいと思います。
・科学者や歴史家 など、その正確性を評価する資格のある人々の間で主流の意見に必ず反対している
・非現実的に陰謀が成功することが示唆される
・ほぼ完璧に近い能力と秘密主義に基づいて行動することが可能であるとされる
・善と悪が戦っている白黒の世界が想定されている
善良で弱者な市民が、巨悪や陰謀に立ち向かうような、勧善懲悪の創作紛いの妄想、陰謀論に根付く思想はこんなところだと思います。
科学者や歴史家などの有識者も陰謀側の人間(強者)とみなすので、その人達の主張とは反する説を唱えるのです。
普通に考えれば、陰謀側の人間も完璧でもなければ一枚岩でもないし、陰謀が上手くいく前提なのもおかしいし、善と悪なんて単純に二分できるものでもありません。
ただこれは、wikiの解説の続きを読むと分かると思いますが
陰謀論は反証に抵抗し、循環論法によって強化される。つまり、陰謀と矛盾する証拠があったり、陰謀の証拠自体が存在しない場合であっても、どちらも陰謀が存在する証拠として再解釈されてしまうため、結果として陰謀論は証明されたり反証されたりするものではなく、信仰するものとなってしまう。
つまり、どうあっても陰謀を唱えることに執着するので論理は二の次となってしまうのです。
「反証に抵抗し、循環論法によって強化」
これは、どういうことかというと
「提示された反証は捏造に決まっている。むしろ、都合よく反証があること自体が陰謀を裏付けているではないか」
となってしまうのです。
新しい反証が現れるたびに、多数が隠蔽工作に加担していると主張しそれらを退けていくのです。
陰謀に対する証拠がないことや、反証の存在は陰謀論にとって都合の良いように再解釈される、この認識論的戦略をカスケード・ロジックといいます。"認知的不協和"を究極的に拗らせてる一例となります。
なので、陰謀論はよく信仰と言われるのです。
宗教などを悪く言うつもりはありませんが、信仰とは無条件の肯定、詰まる所鵜呑みだと思っています。
陰謀論にはまる訳
そもそも、なぜこんな穴だらけの仮説を信奉し、先鋭化してしまうのか考えてみたいと思います。
- 第二に、陰謀論は光と闇の勢力で世界を二分するという単純で魅力的な方法を採用する。彼らはすべての悪を一つの源にまで遡る。すなわち、陰謀の首謀者とその工作員である。
- 第三に、陰謀論は特別な秘密の知識として提示されることが多いため、他者には知られていなかったり、認められていないことがある。そのため「大衆は洗脳された群れであるが、自分のような『知恵ある者』は謀略家の欺瞞を見抜いている」として悦に入ることができる。
つまり、
- 自分の頭では理解できない複雑な事象を単純に説明してくれる
- 世の不条理や不幸は全て陰謀が悪いと言ってくれる
- 他者に対し知識でマウントを取れる
こうなります。
確かにこれは都合がいい。
悪に対し義憤を覚える正義の自分に酔って行動する、こともできるようになるわけです。
これだけ都合のいい話、信仰したくなるのも無理はないですね。
まさに、信じる者は救われるってことです。
その証拠に矛盾する二つの陰謀があったとき、陰謀論者はどちらの陰謀も信じてしまうらしいです。
また、この記事で詳しく話しましたが、
確証バイアスとネット環境の作用によって現代はより陰謀論の蔓延と強化がされやすくなっています。
そして、複数の集団が生まれ陰謀論によって分極化が進んでいくわけです。
分極化された各集団内では、さらに仮説の強化がなされていき、思想も過激派に染まっていき、やがてテロ等の事件を起こす場合もあるのです。(リスキーシフト)
結局、何をもって陰謀論とするのか?
ここまで陰謀論についてあれこれ見てきたわけですけど、結局陰謀論はどうやって見分けたらいいのでしょうか?
陰謀論とされていないものでも、事実と仮説をごっちゃにした情報なんて数多く飛び交っているわけだし、北朝鮮拉致問題のように過去に陰謀論が証明された例もあります。
結局のところ、ただの仮説と陰謀論を明確に分けるものは存在しないと言えます。
何事も過信と鵜呑みは禁物に。
与えられた情報において事実は何なのか?
それを是としたときの解釈は適切なのか?
情報の根拠はなんなのか?
これらを冷静に分析していく必要がある訳ですが、その場ですぐ出来ないのであれば安易に結論は出さず分からないものとして保留にするという発想も大事になってきます。
特に陰謀論を利用して人を扇動しようとする手合は、人間の不安という感情に付け込み、結論を急かしてくるような事が多いためより注意する必要があります。
陰謀論という言葉は強いレッテル
ぶっちゃけ、この記事で一番言いたい事はこれです。
ここまで陰謀論の悪いところを取り上げていたわけですが、ここまで解説しなくても皆なんとなく悪いものという印象を共通で持っていると思います。
だからこそ、レッテルとして強い効果を発揮します。
最初の方でも言った通り、元々の陰謀論は仮説の一つでしかありません。
そこに、誰かが陰謀論だ!と言ってレッテルを貼ることで初めてその仮説は陰謀論と呼ばれるようになるわけです。
レッテルを貼られた瞬間からその説は、聞くに値しないほど論理破綻しているもの、もしくはデマと認識されるようになります。
逆に言えば、都合の悪い仮説に対し
「これは陰謀論だ!」
と言って潰すことも可能なわけです。
SNS上の議論()で、
「お前の話は陰謀論だから論ずるに値しない。デマを拡散するな。」
といって相手を攻撃している人間を見かけたことはありませんか?
陰謀論という言葉に惑わされて、印象のみで論じるのは危険だと思います。
陰謀論を頭から否定し話を聞かないのは、結局のところ陰謀論信者と思考は変わらないということです。
何事も過信と鵜呑みは禁物に。
陰謀論は、無条件に肯定的・否定的に捉えるのではなく、仮説の一つとして捉えるのが重要だと思います。
終わり
というわけで長々書いてみたわけですけども、相変わらず話がとっ散らかってて申し訳ないです。
一つのことを調べると芋ずる式に情報が出てくるので、結果まとまらなくなるんです・・・
世に出てる陰謀論だけど、僕個人としてはエンタメとしては大好きです。
なのであまりにも否定的な風潮になるのが悲しくて今回こんなテーマを扱いました。
まあ、何事もほどほどにってことで!
それでは、またね!!